SATO MEDIA

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【イタリアの旨味】チェターラの琥珀か日常の黒帯か。「ガルム」魚醤の使い分け術

本記事はこんな方におすすめ

  • イタリア料理が大好きな人
  • 自宅料理をイタリアンのプロの味に近づけたい
  • 海外の魚醤に興味がある

「アッラ・ガルム」の写真(最近のパッケージ版)

みなさん!「コラトゥーラ」知ってますかー?

イタリア南岸の小さな港町から来た琥珀色の魚醤なんだけど、少量で料理の輪郭が立つ。ただ、良いものは高い!
そこで私は、厨房時代から使ってきた“もう少し日常向きの選択肢”をすすめたい。名前は「ガルム」今回の主役です。古代ローマ由来の魚醤で、液体のまま扱えてアンチョビの置換にも向く。今回は高級調味料コラトゥーラとガルムの違いなども含めて合紹介します。なお最近パッケージが変わり、見た目の“イタリア感”は薄れたが、味は変わっていないという話もあわせて。

目次

コラトゥーラとは何ぞや

まずはここから説明しましょう。
コラトゥーラは、カタクチイワシを塩と重ねて樽に詰め、長く熟成させたのち、滴り落ちる液体を濾したイタリアの魚醤。アマルフィ海岸のチェターラが有名で、伝統的な製法を守る品はDOP指定の対象にもなる。色は澄んだ琥珀色で、香りは穏やか。塩分は高めだが、数滴で料理が締まる。高温で長く煮ると香りが痩せるので、基本は仕上げ投入が作法だ。

DOP指定:
Denominazione di Origine Protetta(原産地呼称保護/EUのPDO)のこと。
その食品がどの地域で、どの原料を使い、どんな製法で作られたかを法的に守る制度。

価格は小瓶でもそれなりにする。たとえば100ミリリットル前後で手が止まる金額になることが多い。少量で効くのでコスパが悪いわけではないが、日々の家庭料理で“がぶがぶ使う”タイプではないのは確かです。

どんな料理に使うか

パスタ、スープ、サラダ、焼き野菜、肉魚の下味、目玉焼き...まぁとにかく多方面の料理に合う。塩の一部を置き換える感覚で、最後の一滴を落とすと輪郭が整う。パスタなんかは、茹で汁少量と合わせて軽く乳化させてから回しかけるとムラになりにくい。

んで、ガルムという選択「現場で長く使ってきた理由」

ガルムは古代ローマに遡る魚醤の系譜。現代の製品は作り手によって幅があるが、基本は魚と塩を発酵させた透明〜半透明の液体で、コラトゥーラより骨太な印象の香味に仕上がることが多い。

アンチョビを使うがゆえの匂い立ちや油はねに悩まされた時期があった。フィレをオイルで溶かすと、フライパンの温度が上がっている場面では盛大に跳ねる。匂いが強く立ち、苦手な人もいる。液体魚醤なら、火を止めてから数滴落とすだけ。香りは穏やかで作業も静かだ。ガルムはその点で便利だった。

一応パッケージの話

同じメーカーのものを長く買ってきたが、最近パッケージが日本寄りのデザインに切り替わった。以前は正面に「アッラ・ガルム」の記載があったが、いまのラベルは表記が控えめだ。並べて撮った写真を見ると、旧ボトルの方が食卓に置いた時の“雰囲気”は良かった。ただし肝心の味は変わらない。見た目の話と中身の話は分けて考えればいい。

製品の概要

ブランド: アッラ・ガルム
原材料: 魚醤(イワシ)、食塩
色: 黒?
保存方法: 常温
内容量: 参考は300ml

違いと使い分け。匂い/油はね/格/塩分

まず香りの方向性。
コラトゥーラは澄んだ輪郭の旨味で上品にまとまる。ガルムはもう少し骨太に押してくる印象。どちらも少量使いが前提だが、日常使いの許容量はガルムの方が取りやすいと思う。次に油はね。アンチョビのフィレはオイルで溶かす工程上どうしても跳ねやすい。液体魚醤は火を止めてから入れるので静か。匂いも必要以上に立ちにくい。

価格は、コラトゥーラが高位、ガルムは抑えめ。毎日の台所では、ガルムを基調にして、特別に香りで締めたい皿だけコラトゥーラという使い分けが現実的だ。
塩分はどちらも高い。
目安として、パスタ100グラムに対してコラトゥーラやガルムを2〜5ミリリットル。強めに効かせるなら10ミリリットルまでが上限域という感覚だ。濃度や魚種はメーカーで差があるので、味見で微調整する。

家庭での使い方。仕上げ数滴の“しきい値”とコツ

基本は、火を止めた直後に入れる。ソースが熱々のうちに、茹で汁やオイルと合わせて軽く乳化させる。スプーンの背で混ぜると、ムラなく回る。塩は最初から全量入れず、魚醤の分を見込んで控えめに。料理ごとのしきい値は次の通り。

  • シンプルなパスタ(オイルベース)
    パスタ100グラムにコラトゥーラ2〜3ミリリットル。風味で押したい日は5ミリリットル。にんにくは控えめにして、パセリで輪郭を整える。茹で汁少量で乳化してから落とすと全体が均一になる。
  • トマト系
    煮込みの終盤で火を止め、味を見ながら2ミリリットル前後。酸に旨味が重なって、トマトの尖りが丸くなる。
  • スープ
    器によそってから1〜2ミリリットル。熱で香りを飛ばさない。
  • サラダ/マリネ
    オイルとレモン汁、胡椒に少量を溶いて即席ドレッシング。塩は極力入れない。
  • 卵料理
    目玉焼きの黄身の脇に一滴。白身の甘さが鮮明になる。
  • 焼き野菜
    皿に盛ってから一筋。焦がしの香りに旨味が乗る。
価格と容量。無理なく続けるための買い方

魚醤は基本的に“香味料”。酸化や揮発で香りが痩せる前に、使い切れるサイズを選んだほうが良い。100ミリリットル前後が扱いやすい。
コラトゥーラはご褒美ポジションで、来客や週末の一皿に置いておく。普段はガルムの方を主戦力にして、買い替えの負担を軽くする。入手は輸入食材店や大手ECで困らない。検索すると複数の取り扱いが見つかる。

まとめ

日常はガルム、
要所でコラトゥーラ

コラトゥーラは、最後の一滴で料理の余韻を伸ばす。香りはやわらかく、食後の印象がきれいに残る。一方、ガルムはもっと実務的。

アンチョビを使うときの匂いと油はねを回避したい夜、火を止めて静かに数滴。作業が静かで台所が落ち着く。価格で言えば、日常の主戦はガルム。ここぞの皿でコラトゥーラを使う。これが私の台所の現実解だ。最近のパッケージ変更は見た目の話にすぎない。写真を見返すと旧ボトルが少し愛おしい...。
けれど、味と使い勝手は変わらない。道具は使ってなんぼ。
料理が大好きなそこの貴方!ガルムでプロ味に近づけてみてはいかがですか?

用途別ミニ早見

  • 強い匂いを避けたい → ガルムを仕上げ数滴
  • 余韻を品よく伸ばしたい → コラトゥーラを仕上げ数滴
  • フィレの作業を省きたい → 液体で置換
  • しっかり塩気を立てたい → まず5ミリリットル、味見で前後

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