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ネタバレ率1%以下書評|ストレスに呑まれる前に読むべき一冊『マインドフルネスストレス低減法』は“気づき”の技術だ

こんな方におすすめ

  • 極力ネタバレ無しで本作の魅力に触れてみたい
  • 深呼吸しても落ち着かない…そんな悩みに静かに向き合いたい
  • 精神論ではなく脳科学に基づいたストレス対処の知識を身につけたい

目次

署名:マインドフルネスストレス低減法
著者:ジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)
著者情報:マサチューセッツ大学医学部の名誉教授で、マインドフルネスに基づくストレス低減法(MBSR)の開発者。MITで分子生物学の博士号を取得しつつ、禅やヨガの思想を学び、1979年にストレス低減クリニックを設立。以後、瞑想を医療現場に応用し、ストレスや慢性疾患の治療法としてマインドフルネスを世界に広めました。代表作に『Full Catastrophe Living』『Wherever You Go, There You Are』などを執筆。
出版社
:北大路書房
出版日:​2007年9月
ページ数:408ページ
読了目安時間:約8時間

なぜ「何もしない」がストレス対策になるのか

「深呼吸して」「落ち着いて」「肩の力抜いて」
このあたり、上司や家族に言われるワードランキング常連だが、実際にそれで落ち着いた試しがあるだろうか?

私はない。

むしろ、そんな言葉が刺さるほどには、もうストレスで感覚が麻痺していた。そんなとき出会ったのが『マインドフルネスストレス低減法』。名前だけ聞けば自己啓発っぽくも聞こえるが、内容は自己啓発の皮を被った実践的な脳トレだった。

本書の要諦は今この瞬間に注意を向けること。つまり“マインドフルネス”という、少々宗教っぽさもあるキーワードに集約される。だが、これは仏教の思想ではない。いや、仏教的でありながら、MRIにも載る科学でもあるのだ。
だが、これは仏教の思想ではない。いや、仏教的でありながら、MRIにも載る科学でもあるのだ。たとえばLazarら(2011, Harvard)の研究では、マインドフルネスを8週間実践した人の脳では、扁桃体(ストレス反応を司る部位)が縮小していたという研究結果もある。

出典:Harvard Gazette

つまるところ、“脳の形が変わる”という話である。

 

「気づき」という名の内なる観察者を呼び覚ませ

マインドフルネスとは何か。それは「無になる」ことではなく、今この瞬間を“観察する”ことだ。この“観る”という行為が、なかなか面白い。
たとえば怒っているとき、普通は怒りに巻き込まれる。だが本書のアプローチでは「怒っている自分を観察する」。つまり、感情の中にもうひとりの観察者を育てる感覚に近い。

この“観る人”が育つと、感情の暴走が少しずつ収まってくる。実際、僕自身も「ちょっとしたことでイラつく自分」を冷静にツッコミ入れられるようになった。
「お前、それでまた集中切らすんかい」と。これ、冗談じゃなく人間関係を修復するテクニックとしても使える。たとえば家族との言い争い。イラッとしたときに0.5秒でも観察者が現れると、地獄の炎上が防げるのだ。「怒る」のではなく、「怒っている自分に気づく」というだけで、人は変われる。そして、これも科学が後押ししてくれる。

Teasdaleら(2000)の研究では、マインドフルネスベースの認知療法(MBCT)を8週間行ったうつ病経験者は、再発率が43%減少したという興味深いデータもある。

出典:JCCP Vol.68 No.4(英文)

呼吸ひとつで人生は変わらない、でも静かになる

本書で紹介されている「歩行瞑想」や「食事瞑想」。
正直、最初は笑った。「食べることに集中って、ただの早食い防止じゃね?」と。でも実際にやってみた。朝の通勤、スマホを見ずに“歩くこと”だけに集中してみる。

……すると不思議なことが起きた。

  • 地面の硬さがわかる
  • 呼吸の重さに気づく
  • 背中のコリが“今ここにある”と感じる

感覚が“戻ってくる”のだ。

忙しさの中で消えていた「身体の実感」みたいなものが、ただの散歩で蘇る。これって、ちょっとした現代人の逆襲ではないか?
そして、何より大きかったのは「無理にポジティブにならなくていい」という本書の姿勢。うまくやらなくていい。ただ「いま自分がどう感じてるか」を、正直に見つめるだけ。SNSではポジティブが礼儀みたいになってるけど、そんなの、毎日維持してたら人間やめる羽目になる。

 

まとめ「忙しいあなたが最初にやるべき“静かな反撃”」

① ストレスは「対処」じゃなく「観察」で向き合える
② 呼吸、歩行、食事──日常に“静けさ”を取り戻すツールはそこにある
③ 科学的根拠に支えられた、“無理せず整う”生き方
④ 人生の主導権を取り戻すには、「今に気づく」ことから始まる

※この記事は個人の読書体験・実践経験をもとに執筆しています。効果には個人差があり、治療を目的とするものではありません。心身の不調がある方は専門家へご相談ください。

書籍・著者情報/本の目次

署名:マインドフルネスストレス低減法
著者:ジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)
著者情報:マサチューセッツ大学医学部の名誉教授で、マインドフルネスに基づくストレス低減法(MBSR)の開発者。MITで分子生物学の博士号を取得しつつ、禅やヨガの思想を学び、1979年にストレス低減クリニックを設立。以後、瞑想を医療現場に応用し、ストレスや慢性疾患の治療法としてマインドフルネスを世界に広めました。代表作に『Full Catastrophe Living』『Wherever You Go, There You Are』などを執筆。
出版社
:北大路書房
出版日:​2007年9月
ページ数:408ページ
読了目安時間:約8時間
目次(一部省略)
第1部 「マインドフルネス瞑想法」の実践
第2部 瞑想によるストレス対処法
第3部 健康と癒しの新しいパラダイム

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